最新温度調査報告
このようなことは、OB客様の「住まい感コメント」を読んでいただければわかるのですが、感想は個人差がありますので、「実測温度データで検証したい」と望む方もいらっしゃると思います。温度データは、データロガーというコイン状の計測器を用いて、住宅中に7~12ケ所、2時間ごとに1年間は計測させてもらいます。データロガーも高価であり、多くのお宅を計測することはできていませんが、それでも累積8邸のお宅から 温度データを頂いております。そのうち4邸様はすでにへいへいほー誌上にて2007年に結果報告をさせていただきました。今回はそれ以後の4邸様を3号にわたって報告します。
まず第1は、松塩地区の客様で、住宅床面積は、約49坪、5人家族のお宅です。気密測定結果は、C値=0.43c㎡/㎡です。2013年1月~2013年12月までの計測結果から、2013年1月20日~1月30日の間の、各部屋平均温度を表1にて、LDK、床下、外気の湿度を表2にてご覧ください。
表1 2013・1月20日~1月30日温度平均
表2 2013・1月20日~1月30日湿度平均
計測設定を2時間ピッチにしましたが、当初設定が0:40でしたので、半端な時間になってしまいました。以下にこの表1(温度)から読み取れることを箇条書きにします。
①1日を通じての温度変化・・・各エリアとも最大で2.1度以内に納まっています。
②昼間=朝6:40~夜6:40、夜間=夜6:40~朝6:40とした場合、最低温度は昼間に記録されている・・ご家族が学校、職場等に出かけるので、昼間は暖房を切っている為。
③暖房を切った温度低下・・・各エリアとも最大で2.1度以内、日射等のアシストと、高い断熱性能のため。温度が下がりにくい。
④夜間帯だけの温度変化・・・各エリアとも最大で1.5度以内に納まっている。暖房によって温度が保たれるため。
⑤冷温庫の温度・・・野菜保管庫として適度な温度環境にある。
※冷温庫とは、野菜等の冬期保管のため外気をファン、給気口等で取り入れて、チルドルーム状態にした食品庫(夏は閉じて通常の食品庫として使用)
⑥各エリアごとの温度差(床下除く)・・・リビング゙と1Fトイレに最大5.1度の温度差があるが、1Fトイレの夜間帯の最低温度=17.5度であるので、ヒートショックは発生しない。 表1についての解説は以上ですが、「この温度環境=全館暖房」と言って良いと思いませんか? 全館暖房とはこのような温度環境を実現する事であって、暖房のシステムのみを指す用語ではありませんから。しかし、現在、経産省が行っているZEH(ゼロエネルギーハウス)補助金制度においては、当社の暖房システムでは、全館暖房としてみなされず、非常に不利な扱いをされてしまいます。実態とルールが一致するのは難しいことでしょうが、当社の建物が全館暖房であり、そのうえで驚くべき低光熱費を実現していることをご理解いただきたいと思います。 続いて表2(湿度)について、以前は、温度だけの調査でしたが、同じロガーで、温度と湿度が同時に計測できるものがあることを知りまして、温度と同時に湿度も計測するようにしました。以前のロガーも併用しているので、今回は3ヶ所で湿度を計測しました。リビングの湿度は平均的に42.5%、床下=60.1%と、床下が潤湿に感じますが、同じ水蒸気を含んだ空気でも、冷やされますと、相対湿度は上がります。22.9度42.5%の空気が17.4度に冷されますと、ほぼ60%の湿度になります。床下の湿度は、75%以下に抑えたいので、その点では、リビングをもう10%加湿しても安全と言えます。次回の報告では、温度調査ヶ所のすべてで、湿度も計測してありますので、湿度調査報告も興味深いと思います。さて、このような、優れた温熱環境が、何円の暖房費で実現するのか?という最も大事な話になりますが、表3をご覧ください。
表3 温度調査住宅の電力使用量と、2017年単価による電気料金
暖房費=冬場に増える電気料-冬場に増える給湯費-冬場に増える家電費
暖房費=43,152円-10,341円-7,344円=25,467円
このお宅の調査年(2013)の電力使用量の実績に、現在の電気料単価をかけて、現在であればの、電気料を算出したのが表3です。
年間光熱費=183,394円 冬場に増える電気料=43,152円 この内暖房費=25,467円という額があぶりだされます。暖房費は冬期間を合計した額であり、1ヶ月の暖房費ではありません。結構すごいと思いませんか。
今月はここまでにし、来月は、「温床工法の効果と費用」についても報告します。お楽しみにして下さい。