最新温度調査報告② 「温床工法」
このお宅では、冬場に床下をエアコンで温める「温床工法」を採用しています。本年冬で2シーズンを過ごされましたが、温度計測は昨年5月からお願いしましたので、冬のデータは1シーズンになります。こちらのお宅は、大変上手に省エネをなさっていただき、1年目の光熱費は、年間で、112,526円であり、冬に限って言えば、暖冬であったこともあり、年間の暖房費が1万円以下という凄い数字でした。(表3※5)昨シーズンも「温床工法」は行ったのですが、本年は、「もっと積極的に床下に熱を入れてみようか」というチャレンジで、午前4:00~午後9:00まで、終日高い温度で床下エアコンを稼働してみたとのことです。結果として昨シーズンと比べると、暖房電力で815KWH増、暖房電気料で、17,499円増となりました。暖冬、平年並みの差がありますし、アップしたとはいえ、年間暖房費が26,136円(表3※5)であったわけですから、優れた数字ではありますが、床下エアコンの稼働に一工夫する必要がありそうです。
■2017・1月1日〜1月28日温度平均
「温床工法」と「床暖房」の違い
冬場に見学会に来場いただきますと、2Fの床の温度状態が大変よく、快適です。1Fの床が寒いとか、不快とかではないのですが、2Fの床温に比べると快適性が低く感じる場合があります。(床温で2Fと1度か2度低い)これは、1Fの床下が15度~17度の温度環境にあることが影響しています。そこで、床下の温度をリビングの室温まで、20度~21度くらいまでアップさせることによって光熱費の増分を抑えつつ、快適度を増す。というのが「温床工法」です。床下を過度に温めますと、燃費が悪くなってしまいます。床下エアコンの温度をこまめに調整してもらうのが良いと思います。来シーズンはそのようにご使用いただくようにお願いしました。来シーズンのデータが待ち遠しいですね。
■2017・1月1日〜1月28日湿度平均
■電気料金(調整費、賦課金「除く)
「温床工法と標準工法のデータ差異」
表1をご覧ください。「標準工法」と記されているのは、先月報告させていただきましたお宅のデータです。※1は床下の平均温度ですが、この温度を20度~21度に保つのが良いと思われます。温床工法と標準工法では、リビングの室温に差は見られませんが、床の表面温度は明らかに上がります。お住まいのお客様は「床が暖かいと感じる」とおっしゃっています。
続いて※2に注目下さい。2F納戸に何故注目するかと言いますと、この部屋は基本的に閉めているからです。受験期、プライバシー等で、部屋を閉め切った場合、このような室温が確保できるということがわかります。その際には、あと3度暖房を加えれば、20度の室温が得られます。「オイルヒーター、とか、セラミックヒーター」とかで、わずか加熱すれば良いはずです。
湿度について、※3をご覧ください。「温床工法」の場合、冬場は床下換気を止めます。床下の湿度環境がどうか気になるところですが、加熱しますので、湿度は大変低い値になります。「見えない床下で結露」といった心配は不要だということがわかります。換気量が減るためリビングの湿度は逆に上がります。結露はしなかったとの事ですが、この湿度ですと、室温が下がると結露が発生する可能性があります。換気量を微増させる必要があるかもしれません。
今月は、ここまでに、来月は「夏の温度調査」を報告したいと思います。