第七回. 諏訪の気候と家づくり
今まで、この「家づくり考」で高気密・高断熱住宅についていくつかお話しをさせていただきました。現在、一般住宅において『高気密・高断熱』はあたり前に表現され、ユーザーさんにとってもごく聞きなれた言葉になっている様です。数年前は、これが特殊な建物と見られていましたし、ごく一部の人、もしくは会社が「泥にまみれて、断熱材に埋もれて」といった形で、世間に語り、そして造りという状況でした。今一般的に認知された高気密・高断熱は、その歴史であり、また様々な工夫と研究の成果であったと言えます。
諏訪周辺の気候を再確認したその後、高気密高断熱化の歴史と現状をお話しさせていただきます。諏訪周辺の気候を分析しようと思った時、高気密・高断熱住宅の先進地である北海道との比較をする事が、私共が10年程前におこなった最初の作業でした。表1をご覧下さい。年間を通して各月とも最低気温は、ほぼ同じ値となっています。
「札幌=標高1000?位の場所(原村・北山・泉野等)また、表は作りませんでしたが「函館=諏訪湖周辺」という事がわかりました。湿度においては、年平均で、札幌73%、函館78%、上諏訪75%であり、やはり北海道とほぼ同じでした。その他様々な気候要素が、諏訪周辺と北海道が似ている事が確認されました。その様な中「北海道の住宅は、真冬でもTシャツ一枚で過ごせる」という話しが伝わって来ていて、「それだったら、我々も北海道の様な住宅を作ろうじゃないか!」というのが、諏訪周辺でのいわゆる『高気密・高断熱住宅』の始まりであったと思います。しかもそれが、快適でありながら省エネであるという。チョット、ビックリの住宅でありました。しかしながら、北海道と当地の一番大きな違いは、夏日(最高気温が25度以上になる日)の日数です。上諏訪で75日、札幌で50日、であり、当地では暑さに対する対策が不可欠である事もわかりました。単純に北海道を真似した高気密・高断熱住宅では、不十分なのですが、防寒・防暑を兼ね備えた住宅造りでは、まだまだ北海道に学ぶべき点が多々あり、この諏訪周辺の快適な家造りの為には、更に気候を分析してみる必要を感じています。
そして最も大切なのは、北海道の高気密・高断熱住宅の歴史の中で、失敗してしまった部分がある事。(それは、中途半端な断熱化は、家の耐久性を著しく減少させてしまう事等)これを当地では決してくり返さない。それを心する必要があるという事です。