第二回. 暖房と採暖の意味と暖房機の選択について
暖冬とはいっても諏訪湖が全面結氷して、ミニ御神渡りが出来たとの報道がありました。この気候の中で家の中の寒さをしのぐ方法として一般的な物は、炬燵、ファンヒーター、電気毛布の使用などでしょう。この様な器具を一般に暖房機と呼んでいます。「何を当たり前の事を」と思われるでしょうが、実は少々違います。寒い家全体を快適な熱環境にすることが大変難しいので、自分の居る部屋もしくは自分の体の周辺を暖める為の『暖房機』=(暖を採る)になっているのです。暖房とは、家全体=(房)を暖め、家全体が快適な環境となる為の手段といえます。
ここで賢明な皆様がおわかりの様に、同様の熱源器を使用しても、家の断熱・気密の性能の違いにより、暖房機にもなり、採暖機にもなってしまうわけです。寒いから人の居る所に熱源を置き採暖するのか?家全体の高断熱化・高気密化をして、少ない熱源で暖房するのか?新築の計画の際には、充分に検討していただきたいと思います。
これからの住宅は「熱的環境」を向上させた構造になって行きます。(つまり高断熱化・高気密化なのですが、)高気密住宅における暖房機の選定は、非常に重要になってきます。ストーブ一台で全室暖房!これは不可能ではありません。熱損失係数が1.5以下でしたら間取りなどの工夫で実現できます。しかしながら、このストーブの種類が問題となってくるわけです。内熱型ストーブ(室内の空気を燃焼させて、室内に排気をするタイプ)を使用いたしますと、二酸化炭素、一酸化炭素等の発生により、急激な空気汚染が生じます。これを指摘して、高気密住宅イコール空気汚染と、とらえる人がいますが、何を勘違いしているのでしょうか?快適で長持ちする住宅を造るためには、高気密化は不可欠であります。
したがって内熱型ストーブ以外の熱源を使用する必要があります。灯油を熱とするFF式ストーブ(給気・排気共に外を使用する)パネルヒーター、床暖房、電気を熱とする蓄熱暖房、等々室内の空気を汚さない暖房機は多々ありますので、経費とのかね合いも含めて、充分に検討していただきたいと思います。
さて熱の伝わり方には、対流、輻射、伝導の3種類がありますが、暖房機の能力だけに頼るのではなく、太陽の熱、地球の熱、室内から発生する熱、等を室内に影響させる事が可能になってきました。『省エネルギーで、しかも快適』言葉だけで無く、現実に数多くの建物が造られています。私はこれを「新体感ゾーン」と呼んでいます。今までですと熱源のある部屋は暑く、一歩廊下、トイレ等に出ると寒い。というのが実状で、熱源の部屋の温度は25度、トイレは5度。という感じでしたが、様々な手法を用いて、どの部屋も20度前後で快適。しかも省エネ。まさに体感してみなくては、わからない室内環境が可能になったわけです。こうなると「夏は暑いんじゃないの」という意見が出て来る訳ですが、この部分については、またいずれお話しさせていただきます。