第十四回. ガーデニングの考え方が住宅に対する意識を変えるか?
今、ガーデニングに人気がある。雑誌・テレビを中心として、今年の春頃から大々的にとり上げられ、ホームセンターなどでもガーデニング関連を充実させている。一時の『はやり』ではないかとも思ったが、よくよく考えてみると、どうも単なる『はやり』だけでは終わりそうもない。今までは、ガーデニングも住宅関連の会社に依頼する割合が多かったと思う。「プロにお願いしないと良いガーデニングにならない」とか「難しい作業だ」という思いが施主サイドに有ったと思われる。ところが、自分の出来る範囲でぼちぼちとガーデニングしてゆく事。それ自身が個性であり、自分で造ってゆく過程と、出来上がり具合自体も、自分を表現する方法である事に気がつき、なんでもかんでも、業者に依頼すれば良いという考えから変化してきたのだと思われる。やってみればそれ程難しくもないし、実に楽しい作業である事がわかる。本年2月の住宅雑誌の読者アンケートによると、エクステリア関連では「ウッドデッキを基本にガーデニングしていく」が、第一位であった。自分で出来る所は、自分で頑張ってしまおうという意識がわかる。私共のお客様の中でも、この例は最近多くなって来ている。『三年以内に順次これこれをこの様にしていきたいが、その内これとこれは自分で楽しみながらやりたいので、アドバイスをしてくれ』という内容が多くなってきた。アドバイスを受けながら、自分流を実践していきたいという事である。私もこれには大いなる賛同をしたい。この様なお客様の意識が、住宅本体に関わる意識の変化につながっ
て来るのではないかと思われる。日本においては、なかなか難しいのではないかと言われているのだが、「住み手の責任」の考え方がある。『美しく保つ』は、住む側の責任。『長く保つ』は、造るサイドの責任。の考え方である。あたりまえと思われるかもしれないが、これがなかなか難しかったのである。『美しく保つ』も、施工側の責任とする考え方が、何十年も続いた日本の流れであった。ところが最近「本体はきっちりとプロに造ってもらい、書斎の内装仕上は後々、自分で楽しみながらやりたい」「小屋裏部屋もゆっくり自分で仕上げたい」などの声が多く聞かれる様になり、自分流を楽しむ方法を、お客様が発見しはじめた様な気がする。ガーデニングに対する考え方意識が、住宅本体にもそのままつながってゆくとは思えないのだが、これからの家造りの源流になってゆく可能性が大いにあると思われる。「日本人はいそがしい」ので、なかなか難しいのかもしれないが……。