第十一回. 一月の歴史的大雪による雪害(住宅被害)について
私どもが初めて経験した1月14日〜16日にかけて降り続いた大雪により、既存の住宅及びその周辺のカーポート等にいくつもの被害が出た。80㎝とも100㎝ともいわれた大雪であり、通常では考えられない被害が現実として現れてしまったようだ。一番多かった被害は、アルミ・軽量鉄骨を主部材としたカーポートの差し掛け等の半壊、全壊である。通常、諏訪周辺は、積雪30㎝対応の商品が多い。これは例年の積雪から判断しても間違ってはいないと思われる。積雪100㎝対応といった商品もあるのだが、金額的にも30㎝対応に比べて1.5倍程高くなり、ほとんど使われていない。「雪おろし」という習慣がないし、今まで40㎝位の積雪では何も被害が無かったから、やや安心してしまっていたというのが現実ではなかろうか。これからは30㎝を超える積雪が有った時には、「雪おろし」をするしか方法は無いと思う。
30㎝対応の商品でも、何も被害が無かったものの方が多かった。一番被害に合ったのは、訪問販売による積雪対応の無い商品であり、この場合は、30㎝を超える積雪の際には、100%「雪おろし」をする必要がある様だ。二番目に多かった被害は、屋根周辺でおこっている。「雪止めアングルの落脱」「雨ドヨの変形」等である。特に勾配が急な屋根に被害が集中した。豪雪地帯の家は、雨止めアングル、雨ドヨが無い場合が多い。無い事による不備も多々有る様だが、造るサイドとして、何らかの方策を考える必要性を感じた、被害ではないが、隣地への屋根からの落雪。道路への屋根からの落雪が何軒も見うけられた。また自家の玄関前への落雪も多々見うけられた。隣地、道路への落雪については、家の配置計画の際に十分検討する必要があり、玄関前への落雪に対しては、プラン時点で検討することが必要と思われる。人命にかかわる事であり、大きな課題といえる。
歴史的な雪であったにもかかわらず、家の半壊等は無かった様であるが、100㎝の雪は300kg/㎡の重さといわれている。ベランダ屋根、カーポート等は、30㎝を「雪おろし」の目安とし、家も100㎝を超えそうな時には「雪おろし」が必要である。これは住む人の責任として、実施するしか無いと思う。とても雪おろしが出来る状況でない人は、計画段階で少々金額が高くなっても大雪対応の家を造る為の方策を検討するぺきである。造るサイド、設計するサイドとしては、落雪による人的被害が出ない家づくりを早急に検討し、導人する事が必要であり、今回の被害を真面目にとらえ、家造りの指針の一つにつけ加えてゆくつもりである。
この『家づくり考』を通じて、マイホーム計画の参考になるご提案をさせていただこうと考えております。今回は少々堅い話しになりましたが、次回は、暖房機についてお話しさせていただきます。